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あまりにも大きすぎるいかなごのくぎ煮

いかなごのくぎ煮食べ物
最近は不漁で小さいいかなごがとれないようです

皆さんにとって子供の頃を思い出す食べ物ってなんですか?

畑で採れたての野菜とか、よく食べたお菓子とか、親が作ってくれた料理とか、いろいろあると思います。

僕にとっては「いかなごのくぎ煮」が思い出の食べ物の一つです。

子供の頃は当たり前のように食べていましたが、一般的な日本中誰でも食べているものではないと知ったのは大学生になってからでした。

今回はそんな「いかなごのくぎ煮」について。

ごはんの友 いかなごのくぎ煮

神戸の西部、明石海峡付近に住んでいる人にとっては郷土料理のような存在、いかなごのくぎ煮。
僕も小さい頃からよく食べて育ちました。

炊きたてのごはんの上にのせて食べると幸せな気分になります。これだけで一杯食べられる感じ。

子供の頃は「くぎ煮」ではなく、「いかなごの佃煮」と言っていた気がします。佃煮ではないんですけどね…「海苔の佃煮」も好きだったので。

時間が勝負! いかなごの調理

いかなごはすぐにお腹が割れてしまうので、海から上がったらなるべく早いうちに調理をする必要があります。

小さい頃、母がよく、「昼網がそろそろあがるから、買いに行ってくるわ。」という感じで気合を入れて魚屋さんに走り、用意された大きな鍋で4キロくらいのいかなごをくぎ煮にする様子をよく見ました。

家によっては、鍋総動員で、カセットコンロも使ってとにかく一気に大量につくるということをするようです。時間勝負。

実家では狭いキッチンで大量に調理をするものだから、ものすごい匂いが発生して、火災報知器を鳴らしたことも何度か。
(ちなみにいかなごを炊くときは服や髪に結構匂いがつくので、匂いがついてもいい服にしておきます。)

今年もらったくぎ煮

いかなごは成長すると固くなるので、小さいうちが食べやすいし、僕は好きです。
(大きいほうがくぎ煮の名にふさわしい、真っすぐで釘っぽい形にはなります。)

小さいいかなごは高くて、当時は(今から20年くらい前です…)1キロ1000円を超えていたように思います。

そして、今年実家から送られてきたいかなごのくぎ煮がこちら。

とてもでかい!

ちょっと大きいし固めかなと思ったりもしましたが、子どもたちは大喜び。
ちっちゃいお魚食べたい!ご飯にのせて!と先を争うように食べました。
おいしく食べれたらOK

いかなごの不漁

なんでも、最近はいかなごが不漁なのだそうです。1キロ4000円くらいするのだとか。

すっかり高級食材になってしまって、今では気楽に食べることができません。

いかなごが不漁になっている原因は海の貧栄養化にあるんだとか。
(つまり、海が綺麗になりすぎた。)

こちらは兵庫県の資料です。

「兵庫県では、水産技術センターが中心となり、平成27 年度から令和元年度の5ヶ年にわたり、イカナゴ資源と栄養塩の関係についての調査研究「豊かな瀬戸内海再生調査事業」に取り組んできました。この結果、海域の貧栄養化が食物連鎖を通じてイカナゴ資源の長期的な減少に大きな影響を与えることを、全国に先駆けて解明しました。」

兵庫県 豊かな瀬戸内海再生調査事業の成果 より
https://web.pref.hyogo.lg.jp/press/20200608_kaiken05.html

神戸新聞にはこんな記事が、昨年出ていました

瀬戸内海のイカナゴ減少、「栄養塩」不足が主因 科学的に裏付け

瀬戸内海のイカナゴの減少について、兵庫県水産技術センター(同県明石市)などの研究チームが、「栄養塩」と呼ばれる窒素やリンの減少が主因と突き止めた。栄養塩と水産資源量の関係の科学的解明は世界でもほとんど例がないという。県は研究成果を基に、国による栄養塩の回復や管理を進めるため、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の再改正を求める方針だ。

2020/1/22 07:00神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202001/0013052559.shtml

海が富栄養化して不都合が出てきたから対策をしたら、今度は栄養が少なくなりすぎて不都合が出てきたということのようです。

何事も過ぎたるはおよばざるが如しということでしょうか。

人間って自然と離れては生きられないんだなと、改めて思いました。

天空の城ラピュタ、シータの名セリフが思い出されます。

「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ。」

いかなごの話は土ではなくて海ですが…

環境を守るということ

こういう話を見ると、環境を守るってなんだろうかとよく思います。

自然のことを考えて、なるべく自然に影響を与えないようにする…

というのはそもそも無理で、人間が活動する限り自然には多かれ少なかれ影響を与えるので、影響の大きさをコントロールすることしかできません。

しかも基準はあくまでも人間の都合。

いかなごは食べたいから、もっと増えてほしいのですが、それによって被害を受ける生き物も多分いるでしょうからそれはそれで複雑です。

こうしたことも、いかなごの美味しさとともに、うまく子どもたちに伝えていけるといいですね。

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